FFT_SSの日記

インターネッツにあるFFTのSSや小説を自分用にまとめてます。

【FFT SS】アグリアス「兄妹とはあんなにも仲がいいものなのか?」

 

 

ムスタディオ「さあ……俺も兄妹はいないからわからないな」 

 

アグリアス「いや兄妹とはいえちょっと仲が良すぎないか?アッ、あの二人腕まで組み始めたぞ!」 

 

ムスタディオ「いいじゃないか、姐さん。今からでも遅くはない、俺と一緒に腕を組もう!」 

 

アグリアス「アルマ、アルマ、アルマ、アルマアルマアルマ……」 

 

 

アグリアス「ルザリアからずっとこんな調子ではないか!」 

 

ムスタディオ「……。」 

 

 

 

アグリアス「私の身はラムザに預けるとまで言ったのに……見てみろあのアホ面を!」 

 

ムスタディオ「鼻の下伸びきってますな」 

 

アグリアス「それにあれでは仲がいいというよりベタベタし過ぎだ!あれでは……あれではまるで」 

 

ムスタディオ「恋人同士のようですな」 

 

アグリアス「黙れ!ちょっとあの兄妹に言ってきてやる」 

 

 

 

アグリアス「ラムザ。取り込み中失礼だが進言したい事がある」 

 

ラムザ「アグリアスさん?何でしょう改まって。エヘヘ」 

 

アグリアス(私の前でも鼻の下伸ばしたままか……!) 

 

アグリアス「兄妹仲睦まじいのはわかる。久しぶりの再会と聞いているしな。だが兄妹である以上……」 

 

アルマ「兄さん!ほら見て、うりぼうの群れがいるわ!可愛いわね」 

 

ラムザ「ん?どこにだいアルマ?僕にはわからないよ」 

 

アルマ「ほらあそこよ。あの山の麓の木の……」 

 

アグリアス(また!またあんなに顔を近づけて!!頬が触れるかどうかではないか!) 

 

 

 

ラムザ「本当だ、僕にも見えるよ。珍しいな、この地域で見かけるなんて」 

 

アルマ「うりぼうも兄さんとの再会を祝ってくれているのかもしれないわ」 

 

ラムザ「そうかもしれないな。……そうだといいな」 

 

アルマ「うふふ」 

 

ラムザ「エヘヘ」 

 

アグリアス「ッッ~~~~~~~!ラムザッッッ!!!!」 

 

 

 

アルマ「アッ、うりぼうが逃げてしまったわ。あんな遠くまで大きな怒鳴り声が聞こえたのね……」 

 

アルマ「うりぼうに罪は無いのに。可哀想に……」 

 

アグリアス(…………。) 

 

ラムザ「……どうしたんです大きな声を出して?アグリアスさんらしくないですよ」 

 

アグリアス「ラムザ!それは貴公が」 

 

アルマ「キャアーッ!兄さん、モンスターがこっちへ来るわ!さっきの声を聞きつけたのかもしれない」 

 

ラムザ「なんだって!?全員戦闘準備だ!アグリアスさん、話は後で」 

 

 

 

ラムザ「アルマ、僕の側から離れちゃいけないよ……ってあれ?」 

 

アグリアス「アルマ嬢は私が護ろう。貴公は戦闘に集中しろ!」 

 

ラムザ「わかりました、任せますアグリアスさん!」 

 

 

 

アルマ「……で?私に何の御用ですアグリアスさん?」 

 

アグリアス「兄君と話すときとはえらく調子が違うじゃないか、アルマ嬢。妙に刺々しい」 

 

アルマ「どこぞの辺境の近衛隊長如きが空気を読まずに兄さんと私の間に割り込むものですから、つい……」ニッコリ 

 

 

 

アグリアス(……。) 

 

アルマ「可哀想なアグリアス様。私と兄さんの間を不潔なものと勘違いされた上に嫉妬までされているのね」 

 

アルマ「その心はまるで(兄様に聞いた)ルカヴィのようだわ」 

 

アグリアス「!!貴様!言ってはいいことと悪いことが!」 

 

アルマ「キャアーーーーッッ!」 

 

アグリアス「何!?いや……周りには何も……」 

 

ラムザ「どうしたアルマッ!?大丈夫か!?」 

 

ラムザ「アグリアスさん!何をぼうっとしてるんですか!?任せると言ったのはアグリアスさんですよ!」 

 

 

 

アグリアス「イヤッ、そうじゃないラムザ!アルマ嬢は何も……」 

 

ラムザ「アルマこっちへ来るんだ!……サァ、もう大丈夫だ」 

 

ラムザ「アグリアスさんは前衛へ!アルマは僕が護ります!」 

 

アルマ(ニヤリ) 

 

アグリアス「クッ、あの小娘……!ゲストの分際で……!」 

 

 

 

-夜- 

 

ラムザ「昼間はお疲れさまでした。それにしてもどうしたんですか?突然夜中に呼び出したりして」 

 

 

アグリアス「あ、ああいや戦闘では申し訳なかったな。油断していた」 

 

ラムザ「言いっこなしにしましょう。アグリアスさんは頼りにしているんですから」 

 

アグリアス「ラムザ……。そうだ、用件はだな、その……」 

 

アグリアス「ルザリアからこっち、その、なんだ、していないだろう」 

 

ラムザ「?」 

 

アグリアス「だから!その、交わりを……」 

 

ラムザ「ああセックスですね!」 

 

 

 

アグリアス(そんなはっきり言う奴があるか~~~~~~~ッッ///) 

 

アグリアス「そ、その、ラムザもそこらの馬の骨とは違う高貴で私の好みとはいえ男であり性欲は無常にして惜しむべからず……」ゴニョゴニョ 

 

ラムザ「アグリアスさん?アグリアスさん、しっかりして下さい」 

 

アグリアスさん「ハッ!?……ああ済まない。その、つまりお前も溜まっているだろう」 

 

アグリアスさん「そのままでは戦闘にも集中できないだろう。支障が出る前に、な」 

 

ラムザ「……なるほど。そういうことだったんですね」 

 

 

 

アグリアス「ナッ、何を邪推している!私はお前の為を思って……!」 

 

ラムザ「はいはい、そういうことにしておきますねアグリアスさん」 

 

アグリアス「グ……、まあいい」 

 

ラムザ「アグリアスさん……」 

 

アグリアス「ラムザ……!」ハァハァ 

 

アルマ「キャ~~~~~~~ッッッ!!!!」 

 

ラムザ&アグリアス「!?」 

 

ラムザ「アルマ!どうしたッッ」ダダッ 

 

アグリアス「……またしてもあの小娘ェえええ!!!」 

 

 

 

ドドドドドドドド 

 

ムスタディオ「お?どうしたんです二人とも血相抱えて?姐さんなんか顔がルカヴィになって」 

 

アグリアス「すっこんでろ役立たず!」 

 

ムスタディオ「……。」 

 

 

 

バタンッ 

 

ラムザ「どうしたアルマ大丈夫か!?」 

 

アルマ「兄さん!兄さん、さっきそこにネズミが……ア……!」 

 

 

 

ラムザ「ほらもう大丈夫だよアルマ、どこにもネズミはいない」 

 

アルマ「でも!いつまた出てくるかわからないわ!私怖いの!」 

 

ラムザ「仕方ないなアルマは……。僕が一緒に寝るよ。それで怖くないだろう?」 

 

アグリアス「ッッ!ラムザ!貴公は何を言っている!たかがネズミではないか!お前は私と……」 

 

アルマ「アグリアス様と……何?兄さん」 

 

ラムザ「え……いや、何でもないよアルマ。アグリアスさんとは何でもない」 

 

アグリアス(!!!) 

 

ラムザ「僕はアルマの部屋の床で寝るよ。毛布を取ってくる」 

 

 

 

アグリアス「グ……、ググ……!」 

 

アルマ「憤怒が口から漏れていらっしゃいますわ、アグリアス様」 

 

アルマ「夜中に自室へ男を呼び寄せてナニをしようとしていたのかしら、汚らわしい」 

 

アルマ「古来、サキュバスとはあなたのような下賎な女を言ったのでしょうね。クスクス」 

 

アグリアス「貴様!よくもヌケヌケと!」 

 

ガチャ 

 

ラムザ「?どうしたんです大声出して……」 

 

 

 

アルマ「お帰りなさい兄さん。いえネ、またネズミが出たもので。ネ、アグリアス様?」 

 

アグリアス「あ、ああ……『ネズミめよくもまたヌケヌケと出てきたな』と……」 

 

アルマ「さあ兄さんもう寝ましょう。明日も早いわ」 

 

ラムザ「ああ、そうだねアルマ」 

 

アルマ「兄さんと一緒に寝るなんて何年振りかしら?うふふ」 

 

ラムザ「ああ、アルマの可愛い寝顔を久しぶりに見ることができるよ」 

 

アグリアス(また!まただ!また人目も気にせず二人の世界に……!) 

 

 

 

 

-朝- 

 

アグリアス「ハートを盗むコツを教えて欲しい」 

 

シーフ女「どうしたんです唐突に……?ははあ、ラムザとアルマさんの事ですね」 

 

アイテム子「アグリアスさん色気自分でブレイクしちゃってますもんねえ」 

 

アグリアス「ぐっ……。いや仲間の皆には空気を悪くして申し訳ないとは思っているのだが……」 

 

シーフ女「まあそこら辺の事情はウチらも理解していますよ」 

 

アイテム子「少々泥棒猫のおイタが過ぎるようですね。あっちから見ればアグリアスさんが泥棒猫なんでしょうが」 

 

 

 

アグリアス「確かにアルマ嬢の気持ちもわからないではないのだ。同じ母から生まれたたった一人の兄だしな」 

 

シーフ女「それで姐さんも本格的に女子アビリティを上げてみよう、と……」 

 

アイテム子「お望みとあればモスフングスくらい調達してみせますが……?」 

 

アグリアス「モスフングス?」 

 

アイテム子「モスフングスならジワジワと効くはずですよ、主にアルマさんに。色々と捗りますよ」 

 

シーフ女「ちょおおおおおそれ毒薬だから!ジワジワ殺すやつだから!捗るけど!」 

 

 

 

アグリアス「そ、それはさすがに遠慮させてくれ……。それでハートを盗むコツだが……」 

 

シーフ女「うーんそれなんですけど」 

 

シーフ女「姐さん既にラムザと寝ちゃってますよねえ?それでハート掴めてないってことは……」 

 

テム子「子宮でラムザを掴めてないという事ですね」 

 

アグリアス「!」ガーン 

 

シーフ女「もうちょっと色々とオブラートに包んでくれないかな……」 

 

アグリアス「……!」ガーンガーン 

 

 

 

シーフ女「まあまだ手は色々とありますよ。それに変に色気を出すとかえって逆効果かもしれませんしね」 

 

アグリアス「?どういうことだ?」 

 

テム子「ああいう大人しいゆるふわ系の女は男のツボを刺激するんですよ」 

 

シーフ女「露出を増やしてみたり色気で誘うと、逆に浅ましいと見られるかもしれません」 

 

テム子「馬鹿に見えちゃいますよねー、身体でしか男を満足させられない女って」 

 

アグリアス「」ガーン 

 

シーフ女「ちょっとあんたは黙ってな!」 

 

 

 

話術士女「そりゃあやっぱり料理ですよ。聖アジョラの時代より男は胃を掴めと言いますれば」 

 

アグリアス「うーん料理か……」 

 

話術士女「言葉で男は落とせません。言葉でオトコを酔わせられるのは夜だけです」 

 

アグリアス「そ、そっちはそっちでまた別の機会に講釈願いたい!だが今は料理だ」 

 

シーフ女「思わず男がグラっと来ちゃうような料理があるんでしょ?教えなよ」 

 

話術士女「そんな都合の良い料理があるもんですか……。いいですか?料理自体に然程の意味はありません」 

 

アグリアス「?」 

 

 

 

話術士女「男はシチュエーションを求める生き物なんですよ。」 

 

一同「?」 

 

話術士女「一日が終わってクタクタに帰ったときに尽くしてくれる、母のような存在に甘えが出るんです」 

 

シーフ女「なんとなくわかるな。でもそう考えると姐さんは……」 

 

テム子「母性のアビリティのかけらもなく日々を過ごしてますね。前なんか柔術道着とねじり鉢巻とか着てたし」 

 

アグリアス「じゅ、柔術道着は今関係ないだろう!あれは気が引き締まって力が……!それにあれを着た母だってきっと……」 

 

話術士女「いやまあ私も柔術道着は乙女の装備としていかがかと思いますが……」 

 

 

 

話術士女「でも伝えたい事は理解頂けたかと思います」 

 

アグリアス「うん。つまり相手を思う気持ちが大事で、料理自体は何でもいいわけだな」 

 

話術士女「美味しいことも重要ですけどね」 

 

シーフ女「明日は久々の休みですし、ウチらもお手伝いしますよ」 

 

アグリアス「こちらこそ是非助力願いたい。正直なところ一人でラムザを満足させられる料理の自信などない……」 

 

テム子「大丈夫ですよ!ホコリ被ってカビ映えそうな現状でもアグリアスさんならきっと!」 

 

アグリアス「お前多分私を馬鹿にしてるよな?でもまあありがとう」 

 

シーフ女(今まで気付いてなかったのか……) 

 

ムスタディオ(…………。) 

 

 

 

アグリアス「ッッーーーーーーできたッッッ!」 

 

話術士女「うん、これなら大丈夫。ちゃんと美味しいですよ」 

 

シーフ女「丁度夕飯の時間です。ラムザもきっと喜びますよ!」 

 

テム子「順調過ぎてちょっと面白みに欠けますネ。でも頑張ってきてください」 

 

アグリアス「ああ!戦果を期待していてくれ!行って来るぞ!」 

 

テム子「あーいうところはその辺の男より男らしくて困る」 

 

 

 

アグリアス(き、緊張してきた……。ラムザはちゃんと食べてくれるだろうか……?) 

 

アグリアス(大丈夫、大丈夫だアグリアス……!) 

 

アグリアス「ラムザ……今ちょっといいか?」 

 

アグリアス(?部屋の中から声が聴こえる……)チラッ 

 

 

 

アルマ「ね、兄さん。食べて?」 

 

ラムザ「ン……このスープ少し匂いがキツいね。ギサールの野菜とキノコが入ってるのかな」 

 

アグリアス(!) 

 

アグリアス(なんて……タイミングの悪い……) 

 

アルマ「苦味と匂いがするけど、凄く美味しいし栄養価も高いのよ。……どう?」 

 

ラムザ「ん!以外な味だな、確かに凄く美味い。……相変わらずいい腕してるなあ」 

 

ラムザ「教会から出たら今に男が放っておかないだろうな……」 

 

アルマ「あら、私の狙いは兄さんだけよ?他の男性なんて、そんな」 

 

ラムザ「あはは、アルマは昔っからそればかりだな。そんなじゃ……」 

 

 

 

アルマ「冗談なんかじゃないわ」スッ 

 

ラムザ「えっ」 

 

チュ 

 

アグリアス(!!!!!) 

 

アルマ「……口元にスープがついていたの。これでキレイになったわ」 

 

ガシャーン 

 

ラムザ「?何の音だ?」 

 

 

 

アルマ「私見てくるわ。……キスしたんだから、少しくらい驚いてくれてもいいのに」 

 

ラムザ「ほっぺたじゃないか。……小さい頃との冗談と変わらないよ」 

 

アルマ「唇とも言える位置よ?ふふ、まあいいわ。……誰かがお料理のお皿を落としちゃったみたい」 

 

アルマ「宿の人に片付けてもらうよう言ってくるわ」 

 

ラムザ「ああ。すまない」 

 

 

 

ラムザ「美味しかったけど……やっぱりギサールの野菜はちょっと匂いがキツいな」 

 

 

 

ムスタディオ「作戦は上手くいったかい?アルマちゃん」 

 

アルマ「ええ、教えてくれてありがとう。でも少し可哀想だったかしら。せっかくのお料理を落としちゃったみたい」 

 

ムスタディオ「確かに可哀想だけど、ラムザに姐さんの料理を食べられるよりはマシかな」 

 

アルマ「あなたも物好きなのね。あんな堅物が好みだなんて」 

 

ムスタディオ「……お互い様だろ。それにそっちは兄妹なんだぜ」 

 

アルマ「……言いっこなしだったわね。また何かアグリアスさんが動くようなら教えてください」 

 

ムスタディオ「ああ、じゃあ俺は姐さんを追いかけるから。じゃあな」 

 

アルマ「……ファーラム」 

 

 

 

 

-宿の食堂にて- 

 

シーフ女「あれ、ラムザ。姐さんの料理もう食べたの?美味しかった?」 

 

ラムザ「え?アグリアスさんの料理?いや食べてないけど……」 

 

テム子「えー……じゃあそれ誰が作ったんです?まさか愛しの妹君の手料理とか?」 

 

ラムザ「……アルマはそんなんじゃないよ。新しい料理を作ったから味見してくれって言われただけさ」 

 

シーフ女「……臭いわね」 

 

ラムザ「ああ、ギサール野菜のピクルスが入ってたんだけど、ちょっとクセがあってさ」 

 

 

 

テム子「あの場にいなかったのは……ムスタディオか、アルマさん本人かな」 

 

シーフ女「やられたなァ」 

 

ラムザ「?何の話?」 

 

シーフ女「……目の前の唐変木の話よ」 

 

ラムザ「さっぱりわからないけど……」 

 

テム子「もうちょっと目の前だけじゃなくて周りに目を配りなさい、ってハナシよ。お坊ちゃん」 

 

 

 

-次の日の朝- 

 

アグリアス(今日は私が洗濯係か……。あんなことがあったばかりだし、ラムザとアルマの部屋には行きたくないな) 

 

アグリアス(でも仕方ないな、これも仕事だ) 

 

コンコン 

 

アグリアス「アグリアスだ。洗濯物を取りに来た。入るぞ、いいか?」 

 

シーン 

 

アグリアス「なんだ?朝から出ているのか……。デートとかしてるのかな……」 

 

 

 

アグリアス「入るぞ……」ガチャ 

 

アグリアス「二人の洗濯物はこれか?……なんだ、アルマ嬢のこの服、妙に袖口が汚れているぞ」 

 

アグリアス「料理の時に汚したのかな……ウッ」 

 

アグリアス(泣きそうだ。さっさと洗濯を済ませよう……。) 

 

 

 

シーフ女「お早うございます姐さん。今朝は姐さんが洗濯係ですか」 

 

アグリアス「ああ。汚れ物があったら言ってくれ。」 

 

 

 

アグリアス「あまり洗濯も得意ではないんだが……ちょっとしつこい汚れがありそうなんだ」 

 

シーフ女「ん?染みとかですか?」 

 

アグリアス「どちらかと言うとカビのように見えるんだが……コレだ、アルマ嬢の服なんだが」 

 

シーフ女「えー?あの娘以外にだらし無いですね、服にカビとか……どれどれ」 

 

シーフ女「!……コレって……!」 

 

アグリアス「?このカビがどうかしたのか?」 

 

シーフ女「ちょっとそのまま待っててください!テム子を呼んできます!」 

 

 

 

テム子「間違いないですね、モスフングスです」 

 

シーフ女「やっぱり……!」 

 

アグリアス「モスフングスとは先日話していた毒薬の事か?」 

 

テム子「正確にはモスフングスの胞子ですね。元は死体に生えるキノコなんです」 

 

テム子「モスフングスは死体にしか生えないんです。なのでこれは胞子が付着してしまっているだけですね」 

 

アグリアス「そんな物を彼女がなぜ……?」 

 

 

 

シーフ女「本当に思い当たりませんか?」 

 

アグリアス「何だ?何が言いたい……?」 

 

アグリアス(モスフングスは毒キノコ。死体にしか生えない。毒薬に使う。テム子が冗談でアルマに使うかと聞いてーーー) 

 

アグリアス「キノコだ!」 

 

アグリアス「アルマ嬢がラムザに作った料理にはキノコが入っていたはずだ!」 

 

 

 

シーフ女「それは偽りでは無くて?」 

 

アグリアス「情けない話だが、ラムザがアルマ嬢の料理を食べるところに聞き耳を立てていた……。確かだ」 

 

テム子「物的証拠がある以上、言い逃れは難しいでしょうね」 

 

シーフ女「それでこの量だとどの程度の症状が出そうなの?」 

 

テム子「料理にそのまま使ったとなると胞子の量も、人一人を殺すには十分でしょう」 

 

アグリアス「ク……ラムザとアルマは朝からどこかへ出ている!ラムザが危ない……!」 

 

 

 

アグリアス「ムスタディオ!開けろ、私だ!」 

 

ムスタディオ「ム……。ああ、今開けます」ガチャ 

 

ムスタディオ「お早う姐さん、朝から姐さんの綺麗な顔を見れて嬉しいよ」 

 

アグリアス「呆けるな!貴様、アルマ嬢がどこへ行ったか知らないか!?」 

 

ムスタディオ「いや、聞いてないが……。血相を変えてどうしたんだ?」 

 

シーフ女「詳しくは後で話すけど、あの娘がラムザに毒を盛っていた」 

 

ムスタディオ「えっ……」 

 

 

 

シーフ女「あんた私らをあの娘に売ったね?アグ姐を自分の物にしたかったんだろうけど」 

 

ムスタディオ「なんのことだか……。」 

 

アグリアス「今はどうでもいい!私たちを謀ったというなら今は許す!だから、何か思い当たりはないのか?」 

 

ムスタディオ「……。俺は、毒に関しては一切関知してないぞ」 

 

ムスタディオ「聞いてないし、恋敵とはいえ仲間だ。命を奪われるとなれば止めに入る」 

 

シーフ女「だから今は水に流すと言ってる。早く言いな!ラムザが危ないんだ」 

 

 

 

ムスタディオ「本当に行き先を聞いたわけじゃないんだ、だが……」 

 

ムスタディオ「夜明け前に北に向かったのを窓から見ていた。……恐らくゼグラス砂漠だ」 

 

テム子「今宿の人間にチョコボを用意させてる。……ベオルブ家の縁の者と言ったら快く返事を貰ったわ」 

 

シーフ女「ムスタディオあんたも来るんだよ!」 

 

アグリアス「今の時間から行けばゼグラスは灼熱地獄だ。……ラムザが衰弱しているとしたら危ない。急ごう!」 

 

 

 

ーゼグラス砂漠- 

 

ラムザ「うう、暑い……。ハッ?こ、ここは一体……」 

 

アルマ「-目が覚めたのね兄さん。お早う。可愛い寝顔だったわ。-とっても。」 

 

ラムザ「アルマか?ここはどこだ、砂漠か……?い、いやそれより」 

 

ラムザ「こんなに暑いのに身体が寒くて仕方ないんだ。テム子かアグリアスさんを呼んで……」 

 

アルマ「あの人達はここにはいないわ。ここにいるのは私と兄さんだけ……」 

 

 

 

ラムザ「アルマ?何を言ってるんだ?何で僕たちはこんなところにいる?」 

 

アルマ「あの人達にここにいられちゃ困るの。兄さんには大人しく死んで貰わないと」 

 

ラムザ「……??済まない、耳まで聞こえにくいみたいだ。今なんて言ったんだ……?」 

 

アルマ「無理して聞かなくても言いわ。実の妹に愛されたまま死んでいく方がきっと幸せだから」 

 

ラムザ「……まだ死ねないよ、アルマ……」 

 

アルマ「本当に無理しなくていいのよ。あなたは今まで頑張ってきた。十分過ぎる程に」 

 

ラムザ「…………。」 

 

アルマ「わからない?イレギュラーなの、やりすぎたの、貴方は!」 

 

 

 

ラムザ「……ザルバッグ兄さん、いや、ダイスダーグ兄さんの差し金か?」 

 

アルマ「……死にかけの身体でも頭は回るのね。量からすれば、そろそろいつ死んでもおかしくないはずなんだけど」 

 

ラムザ「アルマだけでは僕を殺す理由が見つからない……。聖石を持っている僕を消したい存在はうんざりする程思い当たるけど」 

 

ラムザ「アルマに縁があるとすればグレバドス教会か、ベオルブのどちらかだ」 

 

アルマ「そういう頭の回りすぎるところがいけないのよ、兄さん……」 

 

 

 

アルマ「そのクセ実の妹が考えていることなんかまるでわかってない。そう、殺されかけるまで……」 

 

アルマ「あの人は私を良くしてくれたわ。妹としか扱ってくれない貴方と違って、女として見てくれた……」 

 

アルマ「私もやっとベオルブの人間になれた気がしたわ」 

 

ラムザ「……アルマ。それで、満足かい?」 

 

アルマ「ッッッ!!!そうやって!意識のない上からの目線がディリータや私のような人間を創りだすのよッ!」 

 

ドサッ…… 

 

 

 

ラムザ(ああ、もう本当にダメかもしれない……もう空が、目が見えない) 

 

アルマ「さようなら兄さん。……ずっと好きだったわ。本当よ」 

 

アルマ「砂漠に綺麗なキノコを咲かせてね。……お花じゃなくて悪いけど。じゃあね」 

 

 

 

アルマ「御機嫌よう……アグリアス様」 

 

アグリアス「ラムザッッ!」 

 

テム子「まだ息はある。でもマズいわ。すぐにエリクサーを飲ませないと」 

 

シーフ女「……ギサールのピクルス漬けと一緒に毒を入れるとは恐れいったわ」 

 

シーフ女「あれだけ臭いの強い料理と一緒にすれば、毒が入ってるなんてまるで思わないわね」 

 

アルマ「…………。」 

 

 

 

シーフ女「そもそもシスコンのラムザが、あんたが毒を盛る事なんて考えてもいなかったでしょうけど……」 

 

アグリアス「貴様ッッ!何故実の兄のラムザにこんな仕打ちをする!?あんなにも慕っていたではないかッ!」 

 

アルマ「……あなた達全員をここで葬る力は私にはないわ。いいえ、例え一人ですら私には殺せない。……動機を話す理由は無いわ」 

 

シーフ女「だから毒を使ったんだもんね。…逃げれるとは思わないことね」 

 

アルマ「……残念ね。私のお墓にもキノコが生えちゃうなんて。」 

 

シーフ女「え?」 

 

 

 

アグリアス「アルマッッ!貴様……!」 

 

グイッ ゴキュ…… 

 

アルマ「プハッ、もう遅いわ」 

 

アルマ「さようならアグリアス・オークス……私の兄さんを奪ったこと、死んでも恨むわ」 

 

ゴホッ 

 

アグリアス「…………!!」 

 

シーフ女「……ダメ、もう死んでるわ」 

 

 

 

テム子「それよりッ!ラムザが息をしていないの!このままじゃマズい……!」 

 

アグリアス「そんな……何をすればいい!?エリクサーはどうした、早く!」 

 

テム子「もうとっくに飲ませたわよッッ!!」 

 

アグリアス「な、何をしている!?白魔法を、白魔法を早く!」 

 

話術士女「…………。もうダメだわ」 

 

アグリアス「馬鹿な事を言うな!ケアルでもレイズでもいい!何でもいいから早く!急がないとッッ!」 

 

 

 

話術士女「もうラムザは……死んでるわ」 

 

テム子「元々あれだけの量を飲んで今まで生きていたのが不思議だったのよ……」 

 

シーフ女「…………。」 

 

アグリアス「解毒剤だ、アルマが解毒剤を持っているはずだ!毒を使うものなら必ず……」 

 

シーフ女「……持ってないわ。調べたけど、アルマは解毒剤を持っていない。……最初から殺意しかなかったんじゃないかな」 

 

アグリアス「…………ウウ、そんな……」 

 

アグリアス「ラムザッ、嫌だ!死ぬな!馬鹿!生き返れ!」 

 

 

 

シーフ女「…………。」 

 

テム子「…………。」 

 

話術士「…………。」 

 

ムスタディオ「…………。」 

 

アグリアス「私の手料理も食べずに死ぬな!この身を預かると言ったのはどこの馬鹿だ!生き返れ、馬鹿ッッ!!」 

 

ムスタディオ(見てられねェ……。) 

 

 

 

ムスタディオ「……あれ?」 

 

ムスタディオ「ちょっ、ちょっと待った!アルマのバッグが何か光ってるぞ!」 

 

アグリアス「これは……聖石『タウロス』。枢機卿がルカヴィとなった……」 

 

“汝の願いを聞き届けよう……” 

 

アグリアス「何だと……?生き返らせてくれ!ラムザを!生き返らせて欲しいッッ!!」 

 

ムスタディオ「アグリアスッ!やめろ!ルカヴィに取り込まれるぞッッッ!」 

 

 

 

“……承知した” 

 

ヒィィィィン 

 

ムスタディオ「……え?」 

 

シーフ女「この光は……」 

 

テム子「なんだか、温かい……」 

 

アグリアス「!」 

 

 

 

アグリアス「ラムザッッ!!!!」 

 

……。 

……。 

 

僕が皆から全てを聞き、全てを話したのはドーターへ帰ってからだった。 

 

僕の妹アルマは兄・ダイスダーグに命じられ、ラーグ公に取っても邪魔な存在である僕を消そうとした。 

 

ダイスダーグが聖石とルカヴィの秘密を知っていたのかは定かではない。 

 

僕は唯一信じることのできた肉親に裏切られ、結果、僕だけが生き残ってしまった。 

 

恨むべくはダイスダーグであるのか、それとも手を下したアルマであるのか。 

 

僕にはその矛先を定めることすら出来なかった。 

 

 

 

アグリアス「すっかり元気になったみたいだな、ラムザ」 

 

ラムザ「おかげさまで。予定では明日までドーターで休んでいくんでしたよね?」 

 

アグリアス「ああ。一応、大事を取ってな。しかし、これからどうする?」 

 

アグリアス「ダイスダーグ卿を打つとなるとかなり大掛かりな暗殺となる」 

 

アグリアス「ラムザ、お前が決めろ。私はどこまでも付いて行こう」 

 

ラムザ「そうですね……皆はどうしています?」 

 

 

 

アグリアス「明日出立の予定だからな、準備は済ませて観光を楽しんでいる」 

 

アグリアス「こんな時だとは思うが、許してやってくれ。……最近は色々ありすぎた」 

 

ラムザ「……わかっています。なら、僕も少し羽を伸ばしたいですね」 

 

アグリアス「そうか。どこかへ出かけるなら準備をしよう」 

 

ラムザ「いえ、この部屋でいいです。ていうかこの部屋じゃないと出来ません」 

 

アグリアス「?」 

 

ラムザ「ルザリアからこっち溜まっているんでしょ?アグリアスさん?」 

 

 

 

アグリアス「!」ボッ 

 

ラムザ「うわははは!顔真っ赤ですよアグリアスさん!」 

 

グイッ 

 

ラムザ「おっ」 

 

アグリアス「……貴公、覚悟しろ」 

 

アグリアス「二度と他の女の事など考えられないくらいガタガタにして差し上げよう。さあ、早く服を脱げッ!ラムザッッ!!」 

 

 

 

 

 

 

~fin~

 

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