ラムザ
僕がその事件に遭遇したのは、まったくの偶然だった。 ジークデン砦の惨劇より十日ほどたったある日。僕はレナリア台地からガリランドへと至る山道を、人目を避けるように歩いていた。想像したくはないが、僕は公然と北天騎士団へ反旗を翻したのだ。兄達とて…
―――――僕は今でも忘れる事ができない…。 ディリータという名の、親友を失ったあの日の事を――――― ―――――ラムザ!アルガスの次は、おまえの番だッ!!―――――
その男は突然現れた。 ここ、聖地ミュロンドでは、巡礼者がほとんど毎日訪れる。 見知らぬ人など、珍しくもない。 しかし、彼は巡礼者ではない。巡礼者特有の従順な雰囲気など、全くない。 例えるなら、手負いの狼。身なりはボロボロでも、ギラついた瞳は生…