あぐ
アグリアス「……まだ熱っぽい。今日一日は大人しく……ん?」コンコン ???「アグリアスさん、起きてますか?」 アグリアス「その声、ラムザか」
磨羯の月8日 風邪を引いた。 「アグリアスさん、お加減はいかがですか」 「うん……」 あの晩、雪の中へ飛び出したのが、まだ尾を引いているらしい。我ながらヤワになったものだと思うが、いつにもまして熱心にラムザが看病してくれるのを見れば、そう悪い気分…
アグリアス「ラムザめ、わざわざこんな所に呼び出してどういうつもりだ…?」ブツブツ
「つまりあれだ、貴女の言わんとするのは。最近ラムザがかまってくれなくてさびしい、と」 「だっ……」 アグリアスは一瞬絶句し、怒りも露わにジョッキをテーブルに叩きつけた。
五人がバリアスの谷の外れにある、粗末な木賃宿に落ち着いた時には、 日もすでに暮れかかっていた。 「あー、疲れた。アグリアスさん、なんかメシ作ってくれよ」 ブーツを脱ぎ捨て、ベッドに体を投げ出すようにしてムスタディオがうめく。 ウォージリスで待…
ツィゴリス特別女子収容所。その名を聞いて震え上がらない者はない。 どこまでも鬱々と広がる有毒湿地帯のただ中に立つ、分厚い壁に囲まれたこの無愛想な 建物は、一名を最終監獄という。その門をくぐった女が、生きてふたたび出てくることはない。 終身刑か…
深夜。 ザーギドス一を自称する汚らしい宿屋の裏手に設けられた厩へ、足音を忍ばせて 入ってくる者がある。 「レーゼ。レーゼ、元気にしているかい」 答える低い唸り声はドラゴンのもの。つい先日、晴れて異端者一行の一員となった 剣士ベイオウーフと、謎め…
吾輩はチョコボである。名前はボコという。 どこで生まれたのかあまり定かでない。 なんでも薄暗い巣の中で、卵の殻を尻にのっけて クエクエ鳴いていたことだけ覚えている。
アグリアス・オークスはとても緊張していた。人を待っていたのだ。 ただ待つ、ということがこれほどの緊張を強いるものだと、アグリアスは知らなかった。叙任式で国王陛下の来臨を待っていたときだって、気分が引き締まりこそすれ、こんな、どうしたらいいか…
今日も旅を終え、自治都市ベルベニアに来ていた。 旅の疲れを癒すために一行は酒場で一杯やっていたのだった。 みんな思い思いの場所に座り、ひたすら酒を飲む者もいれば よもやま話に花を咲かせたりと、緊張感から解き放たれる今を楽しんでいた。
「起床ぉー!起床ぉー!」 朝を告げる声が寮内に響き渡る。アグリアスはほとんど反射的に目を覚ました。 ルザリアの士官学校。貴族の子弟からなる、エリート育成機関である。