FFT_SSの日記

インターネッツにあるFFTのSSや小説を自分用にまとめてます。

2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

【FFT_SS】ラムや

宝瓶の月18日 終日薄曇り肌寒し 隣家より猪肉をもらう。 ラムザ達がオーボンヌ修道院で姿を消してから、今日でちょうど二月になった。ドーターでラムザと別れてからは六十二日になる。ラムザはまだ戻らない。 二月たってもまだ、あの日のことを何度でも思い…

【FFT SS】融点

空が曲がるほど風の吹く寒い夜は、ラムザが布団にもぐり込んでくる。 「一人だと眠れないんです。こういう夜は」 「子供ではあるまいし」

【FFT SS】夜歩く

昨夜、芸妓と話をした。 そんな下賤な生業の女など、同じ空気を吸うのも汚らわしい。と、以前の自分なら思っていただろう。

【FFT SS】その後の素敵な商売

磨羯の月8日 風邪を引いた。 「アグリアスさん、お加減はいかがですか」 「うん……」 あの晩、雪の中へ飛び出したのが、まだ尾を引いているらしい。我ながらヤワになったものだと思うが、いつにもまして熱心にラムザが看病してくれるのを見れば、そう悪い気分…

【FFT SS】闇夜

僕がその事件に遭遇したのは、まったくの偶然だった。 ジークデン砦の惨劇より十日ほどたったある日。僕はレナリア台地からガリランドへと至る山道を、人目を避けるように歩いていた。想像したくはないが、僕は公然と北天騎士団へ反旗を翻したのだ。兄達とて…

【FFT SS】ラムザ「アグリアスさん、ちょっとお話が」アグリアス「?」

アグリアス「ラムザめ、わざわざこんな所に呼び出してどういうつもりだ…?」ブツブツ

【FFT SS】さびしい

「つまりあれだ、貴女の言わんとするのは。最近ラムザがかまってくれなくてさびしい、と」 「だっ……」 アグリアスは一瞬絶句し、怒りも露わにジョッキをテーブルに叩きつけた。

【FFT SS】あなたの鼓動に

今までに修得していないジョブを選ぶのは個人の自由ではなく、合議制になっていた。集団で戦いに出る以上、身につけているアビリティのバランスが大切になってくるからである。 それ自体に異義はない。しかし、今回の決定は、どう考えても無理がある。 アグ…

【FFT SS】いいわけ

五十年戦争の終結以来、畏国のあらゆる場所を貧しさが覆い尽くし、潤いを求めて大小様々な 徒党が溢れ返るようになったが、その内情は実に様々だ。 利用するだけ利用され、終戦と共に切り捨てられた敗残兵たちの義賊もあれば、田畑を捨てた 元農夫の連中もい…

【FFT SS】麗しのレーゼ

五十年戦争の終結以来、畏国のあらゆる場所を貧しさが覆い尽くし、潤いを求めて大小様々な 徒党が溢れ返るようになったが、その内情は実に様々だ。 利用するだけ利用され、終戦と共に切り捨てられた敗残兵たちの義賊もあれば、田畑を捨てた

【FFT SS】わがままな彫刻

陽が雲ひとつない夜だった。 のぼりきった月が、眠りについた街を照らしている。窓からの景色は妙に美しい。 安宿の一室。祖末なベッドに横たわりながら、私は首を持ち上げ、自分を抱いている男の顔を 見上げた。 ラムザが背中に這わせていた手を止めて、笑…

【FFT SS】冬の空を見上げて

陽が遠く地平線に顔をあらわした頃、アグリアスは静かに目覚めた。見なれた壁の風景。窓辺からは 鳥のさえずりが聴こえる。 ほんの少し寝床に未練を残しながらも、彼女はすぐさま毛布を払う。途端に部屋に立ち篭めていた 冷気が衣服の隙間から入り込み、彼女…

【FFT SS】新人入隊

こんにちは皆さん。長かった冬が去り、今年もイヴァリースに春がやって来ました。 陽気に照らされると、無理矢理にでも元気にさせられてしまうのが春の魅力です。今日、 白羊の月の十日も、わたしにとってそんな春の訪れのような日でした。 あ、申し遅れまし…

【FFT SS】口紅

夕暮れにさしかかり、人気の少ない通りをラムザとアグリアスは二人並んで 歩いていた。手一杯の荷物を持っているせいか、二人とも口数は少ない。街に 駐留する度に行う、物資の補給の帰りなのだ。

【FFT SS】不器用な二人

ラムザがでていってしまった。 きっかけは些細なことだった気がする。 話の最中に、いつの間にか言い争いになっていた。 私は興奮して、ラムザに非難を浴びせた。 いつもの様にラムザが折れて謝り、そんな彼を慰めてやって 優しくしてもらえるつもりだった。…

【FFT SS】日記騒動

ー処女の月七日ー 『ここ数日は天候に恵まれ、魔物との遭遇もほとんどなく、思いのほか早くザランダに到着する事ができた。 先に派遣した武術大会に出場した者達の帰還を待つため、二日ほど滞在する…… ・ ・ スラスラと、端正な字で旅の行程を書き綴るアグリ…

【FFT SS】アグリアスさんのデート指導

「アグリアスさん、お願いします!僕に、『女性』の事を教えて下さい!」

【FFT SS】クッキングアグ

五人がバリアスの谷の外れにある、粗末な木賃宿に落ち着いた時には、 日もすでに暮れかかっていた。 「あー、疲れた。アグリアスさん、なんかメシ作ってくれよ」 ブーツを脱ぎ捨て、ベッドに体を投げ出すようにしてムスタディオがうめく。 ウォージリスで待…

【FFT SS】女騎士二人

「ラヴィアン、確か午後から買い物に出ると言っていたな?」 革鎧のつくろいをする女騎士ラヴィアンの背後から、声をかけてくる者がいた。 振り向くまでもなく、声で誰かはわかっている。ちょうど手首の合わせのむずかしいところに かかっていたので、ラヴィ…

【FFT SS】密猟グルメ

疲れきった体でドグーラ峠をようよう越えた矢先にキングベヒーモスに出くわしたのは 災難だったが、オルランドゥ伯のおかげで何とか撃退できた。 「ザーギドスでの楽しみができたぜ。いやいや、角はもっと根元から切るんだ。 太さで値段が決まるんだから」 …

【FFT SS】秋霖

あまり知られていないことだが、ラヴィアンとラムザは声質がちょっと似ている。 ある時、ラヴィアンが風邪をひいてのどを痛めたことがあった。もともと低めだった声が しわがれてハスキーになり、 「そのままの方がかっこいいわ」 などと、女性陣に受けてい…

【FFT SS】月夜

月の明るい、風のない夜だった。これという理由もなく、眠りから覚めた。 あたりはまだ寝静まっている。こういう時は、体が眠り以外のものを欲しているのだ。アグリアスは そうっと、起こさないようにラヴィアン達をまたぎ越え、足元に気をつけながら馬車を…

【FFT SS】美しきアグリアス・決闘の捕虜収容所

ツィゴリス特別女子収容所。その名を聞いて震え上がらない者はない。 どこまでも鬱々と広がる有毒湿地帯のただ中に立つ、分厚い壁に囲まれたこの無愛想な 建物は、一名を最終監獄という。その門をくぐった女が、生きてふたたび出てくることはない。 終身刑か…

【FFT SS】月夜風呂

ルザリア北部に広がるユーグォの森は、五十年戦争以来、死霊の徘徊する魔所として 知られている。猟師もめったに立ち入らず、近隣の農民が薪を取るために、時折おっかな びっくり森の入口付近をうろつく程度で、街道を通る旅人も少ない。 森の北側には急峻な…

【FFT SS】同窓生

ハイ、あたしサンドラ。サンドラ・ラスカリス。 泣く子も羨むアカデミーの士官候補生。だったんだけど、戦争の始めのころに民兵騎士団の 統率なんてむっさい役目に派遣されちゃったのが運の尽き。

【FFT SS】竜の眠る納屋

深夜。 ザーギドス一を自称する汚らしい宿屋の裏手に設けられた厩へ、足音を忍ばせて 入ってくる者がある。 「レーゼ。レーゼ、元気にしているかい」 答える低い唸り声はドラゴンのもの。つい先日、晴れて異端者一行の一員となった 剣士ベイオウーフと、謎め…

【FFT SS】アルマ「兄さんと私って夫婦だって思われてるみたいよ」

ラムザ「ここじゃ身分を隠して暮らしてるからね」 アルマ「兄さん、嫌じゃないの?」 ラムザ「協会は異端者の兄妹を探してるだろうから、かえって都合がいいよ」 アルマ「そうじゃなくて、兄さんは私と夫婦と思われていてもいいの?」 ラムザ「え?構わない…

【FFT SS】ベイオウーフ「ああ、レーゼはオレの恋人なんだ」

ラムザ「……え? 恋人……? このドラゴンが?」 ベイオウーフ「呪われたんだ。けれど、どんな姿だろうとレーゼはオレの恋人さ」 ホーリードラゴン(レーゼ)「///////」 ムスタディオ「凄いな、アンタ。絶対に助けろよ」 ベイオウーフ「……必ず。うん? どうし…

【FFT SS】我輩はボコである

吾輩はチョコボである。名前はボコという。 どこで生まれたのかあまり定かでない。 なんでも薄暗い巣の中で、卵の殻を尻にのっけて クエクエ鳴いていたことだけ覚えている。

【FFT SS】アグリアス・オークスの夜

アグリアス・オークスはとても緊張していた。人を待っていたのだ。 ただ待つ、ということがこれほどの緊張を強いるものだと、アグリアスは知らなかった。叙任式で国王陛下の来臨を待っていたときだって、気分が引き締まりこそすれ、こんな、どうしたらいいか…