ラムザ×アグリアス
「む、ムスタディオ……やっぱり、僕」 「なんだよー。今更怖気づいたのか? 昨日はあんなに必死な顔してたのにさー」 「で、でも……」 「さーさ、入った入った!!」
暗殺者たちの猛攻を退け、ラムザ一行はランベリー城内に突入する。 そこには銀髪鬼ことエルムドア侯爵、そして殺しを生業とするアサシンのセリアとレディが悠然とこちらを見つめている。
ある昼下がりの午後、ラムザたちは街の近くで野営をしていた。 北天騎士団の支配地域にはいり、めだつ多人数で行動する事を避け小人数に別れて物資の調達をする事になったのだ。朝から少しずつ街に向かい、今残っているのは居留守役とモンスター。そしてラム…
ムスタディオ「さあ……俺も兄妹はいないからわからないな」 アグリアス「いや兄妹とはいえちょっと仲が良すぎないか?アッ、あの二人腕まで組み始めたぞ!」 ムスタディオ「いいじゃないか、姐さん。今からでも遅くはない、俺と一緒に腕を組もう!」 アグリア…
アグリアス「……まだ熱っぽい。今日一日は大人しく……ん?」コンコン ???「アグリアスさん、起きてますか?」 アグリアス「その声、ラムザか」
その日は朝から雪が降り、それは夕方になっても夜になっても止もうとはしなかった。
悲鳴? それとも、産声? 喉もかれよと叫んだあの告白は。 逃げるため? それとも、立ち向かうため? 迷いもせず頷いたのは。
前。後。 白。黒。 是か。否か。 ――用意されているのは、ふたつの道。 善。悪。 無。有。
宝瓶の月18日 終日薄曇り肌寒し 隣家より猪肉をもらう。 ラムザ達がオーボンヌ修道院で姿を消してから、今日でちょうど二月になった。ドーターでラムザと別れてからは六十二日になる。ラムザはまだ戻らない。 二月たってもまだ、あの日のことを何度でも思い…
空が曲がるほど風の吹く寒い夜は、ラムザが布団にもぐり込んでくる。 「一人だと眠れないんです。こういう夜は」 「子供ではあるまいし」
昨夜、芸妓と話をした。 そんな下賤な生業の女など、同じ空気を吸うのも汚らわしい。と、以前の自分なら思っていただろう。
磨羯の月8日 風邪を引いた。 「アグリアスさん、お加減はいかがですか」 「うん……」 あの晩、雪の中へ飛び出したのが、まだ尾を引いているらしい。我ながらヤワになったものだと思うが、いつにもまして熱心にラムザが看病してくれるのを見れば、そう悪い気分…
アグリアス「ラムザめ、わざわざこんな所に呼び出してどういうつもりだ…?」ブツブツ
「つまりあれだ、貴女の言わんとするのは。最近ラムザがかまってくれなくてさびしい、と」 「だっ……」 アグリアスは一瞬絶句し、怒りも露わにジョッキをテーブルに叩きつけた。
今までに修得していないジョブを選ぶのは個人の自由ではなく、合議制になっていた。集団で戦いに出る以上、身につけているアビリティのバランスが大切になってくるからである。 それ自体に異義はない。しかし、今回の決定は、どう考えても無理がある。 アグ…
五十年戦争の終結以来、畏国のあらゆる場所を貧しさが覆い尽くし、潤いを求めて大小様々な 徒党が溢れ返るようになったが、その内情は実に様々だ。 利用するだけ利用され、終戦と共に切り捨てられた敗残兵たちの義賊もあれば、田畑を捨てた 元農夫の連中もい…
陽が雲ひとつない夜だった。 のぼりきった月が、眠りについた街を照らしている。窓からの景色は妙に美しい。 安宿の一室。祖末なベッドに横たわりながら、私は首を持ち上げ、自分を抱いている男の顔を 見上げた。 ラムザが背中に這わせていた手を止めて、笑…
陽が遠く地平線に顔をあらわした頃、アグリアスは静かに目覚めた。見なれた壁の風景。窓辺からは 鳥のさえずりが聴こえる。 ほんの少し寝床に未練を残しながらも、彼女はすぐさま毛布を払う。途端に部屋に立ち篭めていた 冷気が衣服の隙間から入り込み、彼女…
こんにちは皆さん。長かった冬が去り、今年もイヴァリースに春がやって来ました。 陽気に照らされると、無理矢理にでも元気にさせられてしまうのが春の魅力です。今日、 白羊の月の十日も、わたしにとってそんな春の訪れのような日でした。 あ、申し遅れまし…
夕暮れにさしかかり、人気の少ない通りをラムザとアグリアスは二人並んで 歩いていた。手一杯の荷物を持っているせいか、二人とも口数は少ない。街に 駐留する度に行う、物資の補給の帰りなのだ。
ラムザがでていってしまった。 きっかけは些細なことだった気がする。 話の最中に、いつの間にか言い争いになっていた。 私は興奮して、ラムザに非難を浴びせた。 いつもの様にラムザが折れて謝り、そんな彼を慰めてやって 優しくしてもらえるつもりだった。…
ー処女の月七日ー 『ここ数日は天候に恵まれ、魔物との遭遇もほとんどなく、思いのほか早くザランダに到着する事ができた。 先に派遣した武術大会に出場した者達の帰還を待つため、二日ほど滞在する…… ・ ・ スラスラと、端正な字で旅の行程を書き綴るアグリ…
「アグリアスさん、お願いします!僕に、『女性』の事を教えて下さい!」
「ラヴィアン、確か午後から買い物に出ると言っていたな?」 革鎧のつくろいをする女騎士ラヴィアンの背後から、声をかけてくる者がいた。 振り向くまでもなく、声で誰かはわかっている。ちょうど手首の合わせのむずかしいところに かかっていたので、ラヴィ…
疲れきった体でドグーラ峠をようよう越えた矢先にキングベヒーモスに出くわしたのは 災難だったが、オルランドゥ伯のおかげで何とか撃退できた。 「ザーギドスでの楽しみができたぜ。いやいや、角はもっと根元から切るんだ。 太さで値段が決まるんだから」 …
あまり知られていないことだが、ラヴィアンとラムザは声質がちょっと似ている。 ある時、ラヴィアンが風邪をひいてのどを痛めたことがあった。もともと低めだった声が しわがれてハスキーになり、 「そのままの方がかっこいいわ」 などと、女性陣に受けてい…
月の明るい、風のない夜だった。これという理由もなく、眠りから覚めた。 あたりはまだ寝静まっている。こういう時は、体が眠り以外のものを欲しているのだ。アグリアスは そうっと、起こさないようにラヴィアン達をまたぎ越え、足元に気をつけながら馬車を…
ルザリア北部に広がるユーグォの森は、五十年戦争以来、死霊の徘徊する魔所として 知られている。猟師もめったに立ち入らず、近隣の農民が薪を取るために、時折おっかな びっくり森の入口付近をうろつく程度で、街道を通る旅人も少ない。 森の北側には急峻な…
ハイ、あたしサンドラ。サンドラ・ラスカリス。 泣く子も羨むアカデミーの士官候補生。だったんだけど、戦争の始めのころに民兵騎士団の 統率なんてむっさい役目に派遣されちゃったのが運の尽き。
ラムザ「ここじゃ身分を隠して暮らしてるからね」 アルマ「兄さん、嫌じゃないの?」 ラムザ「協会は異端者の兄妹を探してるだろうから、かえって都合がいいよ」 アルマ「そうじゃなくて、兄さんは私と夫婦と思われていてもいいの?」 ラムザ「え?構わない…