FFT_SSの日記

インターネッツにあるFFTのSSや小説を自分用にまとめてます。

【FFT SS】ラムザ&らむざ

 

最終決戦の地オーボンヌ修道院を目指すラムザ一行。

途中のゼイレキレの滝のランダムバトルにて悲劇が起こった。

 

「うわーーーーーー!!」

 

「ラムザぁ!!」

 

アグリアスの声もむなしく滝壺に落ちるラムザ。

 

「ラムザぁ!大丈夫かぁ!」

 

しかし返事はない。その時アグリアスの背後に忍び寄るレッドパンサー。

 

ラムザを滝壺に落とした張本人である。気配に気づいたアグリアスが振り返り剣を構える。

 

「貴様ぁ!!よくもラムザを!!」

 

鬼のように怒濤の攻撃を見せるアグリアス。当然の事ながら一撃KOで戦闘終了。

 

 

「私はラムザを探してくる」

 

「もうちょっと待ってみようぜ?あいつだって男なんだ。ちゃんと戻ってくるって」

 

「……わかった」

 

ラムザが滝壺に落ちて10分程たった。

その間ずっと

アグリアスがラムザを探しに行くのを止めるムスタディオのやりとりが繰り返されていた。

その時メリアドールは森の中からこちらに向かって歩いてくる人影を見つけた。

 

「誰かこっちに来るわ!」

 

一瞬の緊張。しかしその緊張も緩む。その人影はラムザだった。

 

「ラムザ!無事でよかった!」

 

「まったく……余計な心配かけさせやがって!」

 

「怪我はない?」

 

歓喜の声と安堵のため息。ムスタディオとアグリアス、そしてメリアドールがラムザに駆け寄る。

しかしラムザの様子を見た三人は固まった。

 

「?……どうかしたのか?」

 

その様子を見たマラークが近寄る。他の仲間たちも彼らに近寄っていった。

 

「「!!!!!!!!」」

 

ラムザを見たマラークたちは衝撃を受けた。

 

そこにいたのはラムザの服を着た女性だった。

 

「お前………ラムザだよな!?」

 

ムスタディオが驚いた声で叫ぶ。

 

「何言ってるのムスタディオ?私を忘れたの?」

 

その言葉を聞いたムスタディオたちはまた衝撃を受けた。

 ゼイレキレの滝で女性化したラムザ。その姿に驚くムスタディオ達。

 

「ど…どどどどういうことだぁ!?」

ムスタディオが叫ぶ。

 

「落ち着けムスタディオ。ラムザ、どういう事か説明してくれ」

こういう状況でも落ち着いていられるのがベイオウーフである。

 

「それが…よくを覚えてないの。気が付いたら岸辺に流れ着いてて…

みんなを探そうと思って歩いてたら灯りが見えて…」

これまでの経緯を語るラムザ。

 

 

「しかしわからぬ。なぜに女性になったのだ?」

シドは少し動揺した感じで言った。

 

「何言ってるんですか?私は最初から女です!」

 

「はぁ!?」

ムッとした声で言ったラムザにまた驚くムスタディオ。

 

「何言ってやがる!お前はもともと男だったんだ!」

 

「私は生まれたときから女よ!」

 

「いや、お前は男だったんだ」

 

「私は女よ!お・ん・な!」

「男だ!お・と・こ!」

 

強い口調のムスタディオに黙るラムザ。

 

 一瞬の静寂。ラムザはふ~っとため息をして言った。

「ムスタディオ……私のこと嫌いなの?」

 

「え?」

 

少し潤んだ瞳にムスタディオはドキッとした。

 

(か、かわいい……い、いや何考えてるんだ俺は!こいつはラムザなんだぞ!

でも…マジでかわいい……)

 

「い、いや…あの…その…べ、別にき、嫌いな訳じゃ…」

 

ムスタディオとラムザがいい雰囲気になっていくのを

少し(かなり?)ムッとしているアグリアス。

 

「とにかく、一度ドーターに行くべきであろう!

それからラムザの事を考えても遅くはないだろう」

 

「そ、そうだな!よし、すぐに出発だ!」

 

アグリアスが言うとムスタディオがそれに続いて言った。

 

(さっきのラムザ…かわいかった……)

そんなことを考えながらドーターに向かうムスタディオであった。

 

ドーターに着いたラムザ一行は癒し&情報を求めて酒場でくつろいでいた。

 

「…お嬢さん、何か飲むかい?」

 

「じゃあ…ホットミルク」

 

「ははは、女になっても変わらないな、ラムザは」

 

「私は生まれたときから女ですよ、アグリアスさん」

ラムザとアグリアスはカウンターに座って飲んでいる。

 

ドーターに来る途中に女ラムザ賛成派と反対派に分かれた。

賛成派はムスタディオ、ラッド、ベイオウーフ、ラヴィアン、レーゼ。

反対派はメリアドール、アグリアス、シド、ラファ、マラーク、アリシアだ。

と言っても実際言い争っているのはムスタディオとメリアドール、そしてラファだけである。

ドーターの酒場に着いてもまだ言い争っている。

 

「だから別にいいじゃねぇか!ラムザはラムザなんだし!」

 

「いいえ、よくないわ!だって今のラムザはラムザらしくないわ!」

 

「そうよムスタディオ!ラムザより私の方がかわいいんだから!」

 

「いやちがう!ラムザの方が数倍かわいい…って今はそんなこと関係ないだろ!」

 

「…わかった!ムスタディオ、あなたラムザのことが好きなのね!?」

 

「い、いや、ちがう!お、俺はラムザなんか…」

「図星ね…あなたの感情でラムザをつらい目に会わせたくないの!わかった!?」

「うぐぅ……」

メリアドール対ムスタディオはメリアドールに軍配が上がった。

 

「まったく騒がしいな」

「そうですね」

 

原因をつくった張本人はのんきにホットミルクを飲んでいた。

 

「あんたらの中で誰かゼイレキレの滝壺に落ちた人がいるのかい?」

酒場のマスターは何かを察したのかアグリアスに聞いた。

 

「何か知っているのか?」

「ああ。昔からの言い伝えでね。あそこの滝壺には男と女を入れ替える魔物がいる

というのがあってね。それで滝壺には誰も近づかないのさ」

酒場のマスターが言い終わったとき、ラムザは何かを思いだしたように言った。

 

「そういえば…」

「何か思い出したか?」

「私が目を覚ましたとき、おおきいドラゴンみたいなモンスターを見たの。

でもすぐに消えていって…」

「そいつが原因だ!そのモンスターにラムザはやられたんだ!」

ラムザがすべてを言い終える前にアグリアスは叫ぶように言った。

「マスター!元に戻る方法の言い伝えか何か知らないか!?」

「確かに言い伝えはあるが……その…なぁ…」

「教えてくれ!」

「その言い伝えとは………」

それを聞いた途端、ラムザとアグリアスの顔が真っ赤になった。

 

酒場から宿屋に戻ったラムザ一行はそれぞれ個別の部屋に戻っていた。

さいわいほとんどの部屋が空いていたので、全員一人部屋を取れたのである。

 

ラムザは一人、部屋で酒場のマスターの言葉を思い出していた。

(その言い伝えとは、[自分の意中の人と口づけを交わすこと]だそうだ)

(自分の意中の人、つまり私の好きな人…か)

ラムザはその人の事を思いながらその人のいる部屋へ向かおうと思い、

座っていたベットから立ち上がろうとしたとき、ドアのノックが鳴った。

 

「誰?」

「私だ。アグリアスだ。…入っていいか?」

「どうぞ」

ドアが開きアグリアスが入ってきた。

 

「どうしたんですか?こんな時間に」

「その…酒場のマスターの話だが……ラ、ラムザはその…す、好きな人とかいるのか?」

「は、はい。一応」

「そ、そいつはいったい誰だ?」

「…あ、あの…誰にも言わないって、約束してくれますか?」

「ああ」

「……ム、ムスタディオ」

ラムザは顔を真っ赤にして恥ずかしそうに言った。

アグリアスは少し(かなり?)ショックを受けた。

「私、信じてないけど、もともと男って聞いてるから変かもしれないけど…

ムスタディオの事が…その…好きで好きでたまらないんです…」

 

その言葉を聞いたアグリアスは愕然とした。アグリアスはラムザが好きだった。

ラムザが女になっても変わらなかった。

その気持ちが爆発したようにいきなりラムザを抱きしめた。

「……私では…だめなのか?…私はずっとお前が…好きだった……

たとえお前が女になっても…私の気持ちは変わらぬ!」

「ア、アグリアスさ…」

ラムザが言い終える前にアグリアスは強引にラムザの唇に自分の唇を重ねた。

 

ラムザは頭が真っ白になっていた。

目が覚めると目の前に自分とキスをしているアグリアスがいた。

「うわぁ!」

ラムザは訳がわからず衝動的にアグリアスを突き飛ばした。

「す、すまん!私はどうかしていたのだ!ゆ、許してくれ!…ラ、ラムザ?」

「ア、アグリアスさん、こ、ここはどこですか?僕はいったい?」

「ラ、ラムザ!男に戻ったんだな!?」

「え?どういうことですか?」

「実は……」

これまでの出来事を話すアグリアス。しかし、最後に自分がしたことは話さなかった。

「そうですか…だいぶみんなに迷惑をかけてしまった。明日みんなに謝ります」

「ああ…そうだな」

「あの、アグリアスさん。一つだけ覚えていることがあるんですが…」

「なんだ?」

「アグリアスさんが僕のことを好きだって言ったことですよ」

「い、いや、あれは…その…よ、酔っていてな!だ、だから…その…」

アグリアスの顔がみるみる赤くなっていく。

「…僕もアグリアスさんのことが好きですよ」

ラムザは頬を赤らめながら言った。

「わ、私は部屋に戻る!」

顔を真っ赤にしながらアグリアスは部屋へ戻っていった。

 

翌朝、ラムザの姿を見てみんなは少し驚いたが、安堵の表情を浮かべた。一人除いて。

後日、ゼイレキレの滝での戦闘中にラムザを滝壺に落とそうとしたムスタディオが、

アグリアスの無双稲妻突きに殺されかけたのはまた別の話である。

 

~fin~

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